銘柄の選択で注意の必要なタコ足配当

株式に投資する上で最も重要になるのが銘柄の選定です。
購入した銘柄が値上がりしないと、資金を無駄に寝かせることになり、売却益を狙う投資としては意味がなくなります。

ところで、売却益を目指す投資においては、配当金の有無はあまり関係ありませんが、それでも配当金が高いと値上りの見込める銘柄とは言えます。

通常、企業が配当金を分配するのは、配当金の原資となる利益を多く得られていたり、キャッシュフローが適正だったりするからです。
当然、利益が無いのに配当金を出す企業などあり得ません。

ただ、配当金が投資家にとってメリットばかりとは限りません。
利益が出た場合は配当金に多く回すより、設備の拡充に使ったり、研究開発の資金にしたりした方が将来の企業収益のアップや業容の拡大に繋がります。
投資家にとっても長期的な配当金の確保や、堅調な株価というメリットを得られます。

目次

タコ足配当

配当金は利益の証とされていますが、実は企業の中には「タコ足配当」といって、配当金を分配するだけの利益を得られていないにもかかわらず、配当金を出すことがあります。
当然、配当金に回される原資は企業内にプールしてあった剰余金や、設備などを売却した代金が充てられることになります。
そのようなタコ足配当をする主たる目的は、配当金を出すことで投資家を確保し、事業運営に必要となる株価を維持することです。

また、無配当や株価の下落などに対する株主からの批判を避けたいという経営陣の思惑も含まれています。

ちなみに、「タコ足配当」と名付けられているのは、タコが自らの足を食べるという言い伝えに由来しています。

タコ足配当の問題点

個人投資家にとっては、配当金を貰えるに越したことはありません。
従って、配当金の利回りの高い銘柄は人気が集中し、株価が上昇する傾向にあります。しかしながら、利益というバックボーンの無いタコ足配当をしている企業は一時的には株価を維持できるかもしれませんが、いつかは資金が底をつきます。
結果的に、そのような企業は業績が低迷して無配当を余儀なくされ、株価が一気に下落するようになります。

従って、投資家は単に配当金の利回りの高さを見るのではなく、配当金の背景となっている利益の実態をしっかり分析することが重要になります。

タコ足配当の見分け方

タコ足配当をしている企業かどうかを判断するために使われるデータが「配当性向」です。
配当性向とは各年度の税引き後利益に対する配当金の割合を示す指標のことです。

配当性向の数値は、「1株当たりの税引き後利益÷配当金」の数式で算出することができます。この配当性向が100%を超える企業への投資は慎重に見極める必要があります。

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